中日新聞(東京新聞)さんに掲載されました。(下)

本日の中日新聞(東京新聞)に当社の記事が紹介されています。

アップライジングは「本気」で変わりたい人を応援しています。

スーパースタッフの岩田さんの勇気ある告白に感謝です。

同じ病気で苦しんでいる人達にとっては凄い勇気を与える事が出来ると確信しています。

岩田さん。ありがとうございます。

<あらゆる人を戦力に>(上)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018032602000002.html
 
<あらゆる人を戦力に>(中)
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018040202000002.html
 
<あらゆる人を戦力に>(下) 
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2018041602000001.html

 


能力発揮、中小企業でこそ
「今でも自分の中の隠された何かと戦っています」という岩田工さん=宇都宮市で

 

 

 障害、介護、子育て、闘病など、働く上でさまざまな制約を抱える「わけあり人材」。前回の(中)(二日)は、元ひきこもりの男性が「どうせ自分は…」と自身をおとしめてしまうのを、勤務先の社長夫婦が支えて乗り越えた事例を紹介した。過去に罪を犯した人も制約を抱える。社会の目が厳しく、排除もされがちだからだ。しかし過去の自分を真正面から受け止めて店頭に立つ人がいる。

 「ええ、やってました。最初は睡眠薬、次に市販薬を十倍くらい飲む。そして違法薬物に…」。今回、訪れたのも、中古タイヤ販売会社「アップライジング」(宇都宮市)。接客担当の岩田工(たくみ)さん(45)は、自分の過去をはきはきと語る。よどみのない説明は、客に対する態度と変わらない。

 有名私立大を卒業後、大手商社に就職した。激しい出世競争。足の引っ張り合い、ミスの許されない仕事…。「いまでいう『ブラック企業』です。ストレスで眠れなくなり、薬物に手を出すように。ついに、渋谷の交差点で信号待ち中に車の運転席で失神。警察に捕まり、有罪判決を受けました」

 その時三十歳。五年間の執行猶予がつき、群馬県で薬物などの依存症を克服しようとする人たちが集まる「ダルク」に入った。しかし、また手を染めて金を使い果たした。「最後は自己破産です」

 各地のダルクを転々としたが、手応えはいまひとつ。栃木県のダルクに移り、アップライジングを紹介されたのは二〇一六年六月。面接では、社長の斎藤幸一さん(42)の妻で専務の奈津美さん(39)に、「あれもやった」「これもした」と、商社マン時代の実績やダルクでの取り組みなどをアピールした。ひと通り聞き終えた奈津美さんは尋ねた。「今のあなたから変わりたいですか?」。岩田さんは、何か言い当てられた気がした。

 「小学校から大学までラグビーをやってきて、自分は強い人間だと思っていた。でも、生きていくための強さとは、それとは違いますよね。その弱さを自分は見ようとしていなかったのではないかと」

 ダメな部分を含めて、本当の自分を出す-。ダルクでもそう言われ、吐き出したつもりだった。「でも、ここに来て、『今でも隠しているものがあるな』と気付くようになった」と振り返る。

 「ここでは人が人として触れ合える。社員旅行だってあるんですよ。仲間たちと日々接するうちに、自分には『まだ隠しておきたいという恐怖がある』と気付きました」

 こう話す岩田さんを、奈津美さんとともに支えてきた社長の斎藤さんは言う。「薬物依存の人は世間では犯罪者扱いされ、採用どころか面接の場にも立てないことが多い。でも、実際は薬物依存症という病気と真剣に向き合い、本気で変わりたいと思っている人」

 そんな人たちを支える上で、カギとなるのが「中小企業」だと、斎藤さんは言う。「中小企業なら一対一で向き合え、その人の特技や能力が見えてくる。大企業では難しくても、中小なら能力を発揮できる」

 今や人材不足で立ちゆかなくなる企業も出てくる時代。だが、これまでの社会では目を向けられなかった人たちの中に、人材はいる。だから、斎藤さんは、多くのわけありの人たちを迎え入れる。「そういう人材が力を発揮する仕組みを整えられるかどうか。企業の盛衰も、ここで分かれるのでは」

 (三浦耕喜)